WordCamp Kansai 2025 参加レポート


11月2日(日)に開催された WordCamp Kansai 2025 セッションデイ に参加してきました。
昨年は State of the Word に参加しましたが、純粋なコミュニティ主催イベントとしては 2023年の東京以来の開催ですね。
ちょうど前日に推しのライブが神戸であったため、今回はセッションデイのみの参加でした。
WordCampとは
WordCampは、WordPressをテーマにした世界的なコミュニティイベントで、世界各地の都市で開催されています。
その最大の特徴は、「オープンソース精神に基づく、誰もが参加できる学びと交流の場」であること。
開発者・デザイナー・ブロガー・企業担当者・教育関係者など、多様な立場の人々が一堂に会し、WordPressに関する最新の技術・事例・ビジネス活用・デザイン・運用ノウハウを共有します。
WordCamp Kansai 2025 では、「Connect & Create」をコンセプトに、多様な視点からWordPressと社会の関わりを考えるセッションが並びました。
WordPressとオープンソースマインド
WordPressは、世界のWebサイトの40%以上を支えるCMS(コンテンツ管理システム)として知られていますが、その根底にあるのは 「オープンソース=みんなで貢献する」という哲学です。
誰かが作ったテーマやプラグインを、別の誰かが改良し、それをさらに別の誰かが学びに変える──。
WordPressの世界では、知識と経験が世界中で“循環”しています。
WordCampでは、そんな「共有」と「感謝」の文化を直接感じられます。
企業の垣根を越えて知見を分かち合う空気、登壇者のリアルな現場での試行錯誤の共有、そして会場での偶然の出会い。
これらすべてが、オープンソースマインドを体現しているのだと改めて感じさせられました。

セッションの感想
Session 1:意外な落とし穴?ECサービス内のWordPressを扱う上での注意点
登壇者:HASEGAWA Yoshihiro
ECサービス内でWordPressを利用する際の「構成・制約・落とし穴」を体系的に整理。
リバースプロキシ方式とサービス提供サーバー方式の比較を通じ、「WordPressの都合でECを選ばない」という本質的なメッセージが印象的でした。
ECとWordPressの共存って確かに悩ましいですね。
プラグインで実装することもできますし、他のECサービスと共存させる方法もある。
商品点数が少なければ、Shopifyの最安プランで埋め込みコードを使い、カート機能だけをShopifyに持たせるという選択肢も現実的だと思いました。
Session 2:WordPressコミュニティがもたらす変化
登壇者:くーつ
フリーランスから法人化し、WordPressコミュニティを通じて事業を3倍成長させた実例発表。
「学び・人脈・登壇経験」が事業成長を加速させることを、実体験で示した内容でした。
WordPressコミュニティの素晴らしいところは、くーつさんのような“シンデレラ・ストーリー”がたくさん生まれること。
コミュニティに貢献すればするほど、自分にも返ってくる。
僕も三重県でMeetupを2018年のWordBench時代から続けてきたおかげで、たくさんのご縁に恵まれました。
最初は地元にWeb系の知り合いが一人もおらず、「なければ自分で作ろう」と始めた勉強会が、今では少しずつ広がっているのが本当に嬉しいです。
Session 3:これからの「Webデザイン」の話をしよう
登壇者:三宅敦
クラシックテーマからブロックテーマへ。
「表現の自由」から「編集の自由」へという時代の転換を、デザイナーの立場から深く考察したセッションでした。
最近は、ブロック単位でサイトを構築できる“ブロックテーマ”が一般化してきました。
Gutenbergが登場した当初は拒否反応も多かったですが、今ではすっかり市民権を得た印象です。
サイト制作の現場でも、「完璧なデザイン再現」より「運用しやすさ・編集しやすさ」に価値を置くようになりました。
僕自身も、1から作り込むより、ブロックテーマで構築してPDCAを回す方が理にかなっていると感じています。
Session 4:ブロックテーマ実践記 – 本当に使いやすいWordPressの作り方
登壇者:岡本千秋
「設定パネルに触らなくても綺麗に作れるUI」をテーマに、ブロックテーマ実装の実践知を共有。
パターン化とTailwind CSSの組み合わせによる開発効率化が印象的でした。
カスタムブロックを自作するのは本当に大変ですが、再利用ブロックやパターンの登場で大きく変わりましたね。
僕もベクトルさんのLightningにはずいぶんお世話になっています。
パターンライブラリーからコピーしてそのまま使えるのは、初めて見たとき本当に衝撃的でした。
Session 5:知らん巨大なプラグインだ……生成AIを活用して乗り切る
登壇者:高橋文樹
「コーディングエージェント」によるAI支援開発の最前線。
AIに「理解させて説明させる」という新しい開発スタイルが紹介され、AI=共同開発者という未来像が明確に提示されました。
自分でゼロからコードを書く機会は減りましたが、いまやAIがコーディングエージェントとして支えてくれる時代。
スニペットを辞書登録していた頃を思い出すと、まさに隔世の感がありますね。
Session 6:WordPressで稼ぐな、WordPressを“使って”稼げ
登壇者:つぶ
「WordPressは目的ではなく手段」。
ユーザー課題に基づくMVP思考・なぜなぜ分析・ペルソナ設計など、ビジネスとUXをつなぐ本質論が展開されました。
Web制作の本質を突いたセッションでした。
WordPressもAIも、結局は“道具”であり、どう使うかがすべて。
「ドリルが欲しいんじゃない、穴が欲しいんだ」という言葉のように、目的を見失わず、本当に必要な価値を提供できるかが重要だと改めて感じました。
懇親会

懇親会は Blooming Camp by さくらインターネット で行われました。新幹線の時間まででしたが、色んな方にお久しぶりの挨拶ができて良かったです。
時間の都合でお話できなかった方もいらっしゃいますが、またの機会によろしくお願いします。
まとめ
久しぶりにコミュニティの大規模イベントに参加して、
やっぱり WordPressコミュニティって最高だな と感じました。
WordPressやオープンソースにおける「貢献」とは、コア開発やプラグイン制作、翻訳、フォーラム回答、イベント運営、情報発信など、さまざまな形があります。
それらすべてが 「自分の利益」ではなく「みんなの利益」 のために行われている。
今回のWordCampの実行委員も登壇者も、すべてボランティア。講演料も交通費も出ません。
それでも成り立つのは、助け合い・お互い様の精神が根底にあるから。
まさに日本の文化的土壌とオープンソースの精神が重なる瞬間でした。
今回「WordCamp初参加です!」という声が多かったのも印象的でした。
ぜひこの流れで、各地域のWordPress Meetupにも足を運んでみてください。
※ちなみに、三重県のMeetupはこちら 👉 Mie WordPress Meetup
余談
今回のスポンサーブースに CPIさん が参加されていたのは感慨深かったです。
最後に
WordCamp Kansai 2025 とても素晴らしいイベントでした。関係された実行委員、スピーカー、スポンサー、のみなさま本当にお疲れさまでした。開催いただいたことに感謝申し上げます。
最後に、「ブログに書くまでが WordCamp 」ということで、私の WordCamp の参加はこれで終了となります。


